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小栗康平オフィシャルサイトより
小栗オフィシャルサイトを見つけた.

そこに『埋もれ木』公開にあたって,
小栗自身が寄せた文章が載っている.

非常にいい言葉がいくつかあるので,紹介しよう.


既成の物語は抜け道がないほど使い古されていて、どこかに突破口がないのかというのが、見る者と作り手の共通した閉塞感だけれど、ここにいるよと立ち上がった前衛の勇気に敬意を表します (山田太一)

山田は脚本家.そう行き場のない閉塞感と,そこからの脱却.まさに『埋もれ木』の出発点だよなあ.

現代は,ジャンルを問わず閉塞感の時代である.しかしその閉塞感を全く感じていない人間たちも多く,そのことに絶望しかかることもある.小栗の『埋もれ木』は,そんな「閉塞感の閉塞感」をも打ち破ってくれた.「ここに,壁を破ろうとしてる人間がいる」と教えてくれた.

小栗はもう 60 歳.本当は,そんな人が「世界を切り拓いて」いてはいけないのだ.野田秀樹が,『走れメルス』再演にあたり書いていたことを思い出す.「どうも近頃の新しい『若い』芝居を面白いと思えない」「この『走れメルス』は,古い『若い』表現者からの,今の『若い』表現者への挑発であり,挑戦である」.

野田にせよ小栗にせよ,そんな年長組,すでに establish された存在に,世界の騎手を任せていてはいけないのだ.だらしないぞ.僕を含めた若年世代.

現実というのは思いのほかに多層性をもっている。自分が見ている『この世界』がすなわち唯一の現実だと思いこむのは浅はかすぎる (河合隼雄)

河合は高名な心理学者.この文章は小栗が他所から引用してきたものだが,これも『埋もれ木』のファンタジーを見事に説明した一言だろう(だからこそ小栗自身が引用しているわけだが).

使い古された物語を抜けて,唯一の現実を捨てた先に,新しい世界がある.それが『埋もれ木』.


小栗は,その著書『哀切と痛切』を読んだときから,この人が撮る映画が嫌いなはずがないと信じていた.『埋もれ木』を見て,裏切られずに嬉しい.

『埋もれ木』以前の5作品を収めた DVD-BOX が出たそうだ.

小栗康平監督作品集 DVD-BOX
松竹 (2005/06/29)
売り上げランキング: 6,176


買おうかな・・・.悩む.
作品解説ブックレットも付いているらしい.

映画に作品解説など要らぬとお思いでしょうが,小栗作品に限っては,あっても邪魔にはならないと思う.少なくとも『埋もれ木』は,見に行ったら絶対にパンフレットを買った方がいい.その意味で,DVD-BOX を買う意義は非常にあると言えそうなのだ.
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